2013年12月28日土曜日

ワインの3大誤解(難しい・渋い・悪酔い)を山野靖博が解消します!という話







今回は、「ワインって気楽に楽しめるはず!」という僕の思いのもと、
ワインについての誤解を解いてみたいと思います。




年末年始、忘年会や新年会でお酒を飲む機会が増えますね。
僕は量を飲みたいタイプじゃないし、どうせなら好きなお酒を飲みたいので
飲み放題って言うのはあまり魅力を感じません。
とはいえ、みんなで集まってわいわいっていうのは好きなので、
いつもその辺りでバランスとれてる気がしますが。



数あるお酒の中で、ワインほど誤解や間違ったイメージを抱かれているお酒もないんじゃないかなと思います。
好きなお酒はなに?と聞かれて「ワインです」と答えると、
「大人だねー!」とか「ワインわかるのすごーい!」とか
「俺は渋くてダメだー悪酔いするし」っていう反応が返ってくることがあります。

ワインは大人の嗜み、ワインはわからないとダサい、ワインは悪酔いする、などなど
ぜーんぶ「そんなことないですよ!」と思うんですけどね。

世間では盛んにワインスクールで勉強したり、このワインはああだこうだみたいな評論を聞きます。
でもね、それって本来は出口のところから逆走して入っちゃったみたいな話だと思うのです。


ワインってただのお酒ですよ。
でも、農産物だからそこにはストーリーがありますよ、ということを
ぜひとも知っていただいて、ワインに対する心のハードルを下げてもらえたら嬉しいな、
そしてたくさんの人と一緒にワインを飲みにいけたら楽しいな、と僕自身は思うんですけどね。



わかる方が楽しいけれど、わからなくても美味しければいいじゃない!


このワインは〇〇というシャトーの〇〇年物だね。パーカーポイントは〇〇点だった。伸びやかな酸と柔らかなタンニンのバランスが良くて、微かになめし革のニュアンスがある。

とかなんとか、聞いたことありますよね。
ソムリエとかワイン愛好家という方がテレビでこんな風にワインを表現するのがクロースアップされた時期がありました。
一食品の感想にしては不思議な光景だし、その分滑稽だっていう見方もあって、
ワインを飲む=ソムリエみたいな言葉で理解しながら飲む、っていうイメージの刷り込みがある気がします。

最近ですと、「仰々しい表現は必要ない」という潮流も出てきたり、
気軽にグラスワインを十数種類も楽しめるワインバーも増えて、
ワインに対するイメージも気軽なものになってきたように思います。


なぜソムリエが長ーい文言でワインを表現するのかというと
ひとえに、それが職業だからです。

ソムリエの仕事をざっくりいうと、
お客様の好みと予算、料理との相性を考えその席により相応しいワインを選んだり、
お店の特徴やシェフの考え方を踏まえて、世界中のワインからその店に相応しいモノをセレクトし保管管理するというもの。

お客様がくる度や、仕入れに悩むごとに、瓶をあけて試飲をして選ぶわけにはいきません。
となると、品種別・地域別・生産者別・年代別などに頭の中でワインを分類して
それぞれの特徴や傾向を把握しておいたほうがいいのです。

でも悲しいかなワインは食べ物なので、味を写真に撮ってカタログにしておくということが出来ません。
そのときに非常に便利なのが、あの長ーい文言。
味の特徴をさまざまな比喩表現に置き換え、その味覚情報と産地や生産者などの情報を記憶の中で結びつけているのです。


ただカッコつけたいから長々といろいろ言ってみてるわけではないのですね。
意味があるから、やっているのです。


ところがテレビなどの影響によって、
詩的な表現だけが「意味なく」一人歩きしてしまったという向きがありますね。
で、その仰々しい用語だけがワインの飲み方とセットでパッケージ化されて、
詩的な表現のみ「意味なく」使われるような場面が、消費者レヴェルでよくある光景になりました。
そんな風景がどこか気に食わないから、私ワインはわからない・嫌いだわ、という方も多いのではないかな、と。

特に日本人は「不完全なこと、未習得なことは恥ずかしい」という文化を持っている民族ですから、
「私はワインのことはわからないので・・・(飲みません)」というケース、多いような気がするなー。


ワインはわからなくていいのです。
美味しいか美味しくないか、好きか嫌いかで十分!
仔細にわかるなら、プロになれますもの。
ワインを飲むなら必ずプロにならなきゃいけない、というわけではないんですから。

でも、もちろん「ソムリエみたいな表現ってかっこいい!」と憧れることは素晴らしいことです。
そんな人はいろいろ勉強してみるということも、素敵ですよね。
ただし、自分が勉強してわかるからって、その知識をこれ見よがしにひけらかさないこと。
大事な飲み友達を失いかねませんからね。

一番シンプルなルールは、ワインは美味しく楽しむ!
それだけです。



ワインは渋いだけじゃない!それに渋さも立派な個性なんですよ!


ワインは渋いしなー、美味しくないよ

ごもっともな意見です。渋かったり苦かったりは、マズい物の代名詞ですよね。
人間の味覚にとって、「美味しい」と感じるのは甘みと旨味と塩味。
反対に「マズい」と感じるのは苦味と酸味。これは防衛本能に裏付けられたものだそうです。

自然界に於いて、酸っぱい=腐っている、苦い=毒のある物、だそうで。
だから僕たちは先祖代々、甘い物は安全、酸っぱい物・苦い物は危険と判断してこれまで生きてきた、と。


ところで、ワインにとって重要な味の要素ってなんだか知っていますか?

実は、酸味と渋み

あらら、これだと完全に味覚の本能的には危険物、ですね・・・。
でもこの酸味と渋みこそ、ワインがブドウ丸々使って作られていることによって生まれた素晴らしい個性なのです。

なぜそうなるのかを、本当にざっくり説明すると・・・

ブドウには食用とワイン用の2種類があって、特にワイン用のブドウは甘みが少ない品種が多い。
赤ワインの場合特にブドウのみ丸ごと(皮、果肉や果汁、種など)使って作られることが多いが、皮や種には渋みを感じさせる成分=タンニンが多く含まれている。
果汁中の糖分がアルコールに分解される働きによりワインが出来上がる。

ので、元々食べるにはちょっと酸っぱいブドウを種と皮ごと使って、さらに糖分がアルコールに変えられてるので、ワインにとって重要な味の要素が酸味と渋みになる、ということ。



とはいえ、酸っぱいだけがワインじゃないし、渋いだけがワインでもありません。
一時、渋くて重いワインがもてはやされたことがあります。世界的に。
でも最近ではもっと繊細な味を追求したワインが増えたりしていますし、
それに赤ワインだけじゃなく、甘口ワインだって白ワインだって立派なワインです。
カリフォルニアやオーストラリア、チリのワインなんかを飲むと、
「ワインって渋いだけだと思ってたけど、こんなにフルーティで美味しい物もあるのか!
という体験をしていただけると思います^^



あとね、僕が個人的に思っていることなんですけど、
先ほど「一時、渋くて重いワインがもてはやされたことがあります。世界的に。」と書きましたが、
これってワイン評論家という方々の仕事の影響が多大にあったと思うんですよ。
有名なワイン評論家が「このワインは旨い!100点!」っていうと
世界の流行がそれを追随していく、という状況が。
そうやって賞賛されたワインの傾向が「樽香のついた渋くて重い赤ワイン」だったりしたもんだから、
いいワインは渋くて当然、みたいな偏った認識が、特に日本で蔓延してしまったわけです。

有名な評論家って、ほとんどが男性です。
ワイン醸造家も多くは男性だし、フランスやイタリアでワインに対して評価を与える職業の方も、古くは男性ばかりだったはずです。
21世紀に入るまで、ワイン関連の職業人はほとんど男性で占められていました。
男性の味覚が、ワインのオーソドックスを作ってきたわけです。
そして、男性の方が苦味や雑味を好み、女性は旨味や甘みを好む、という傾向があることは最近になってわかってきたことです。
20世紀のワイン産業には、女性の視点が足りなすぎました。
ところが最近では女性の醸造家も増えていますし、女性の目線で作られたワインもたくさんありまし。
「渋さこそワイン!」といったような一元的な見方はすでに過去の産物です。
華やかさ、軽やかさ、濃厚さ、酸味、渋み、甘み、強さのある風味、儚気な風味
多種多様ありとあらゆる個性を持ったワインが世界中から生まれてきています。

ワインを敬遠する理由が渋さだけなのだとしたら、これほどもったいないことはありませんよ!





ワインだからって特別に悪酔いするわけではない!


ワインは添加物が入っているから悪酔いするんだよねー

この言葉、たまにききます。
確かにワインには過度な酸化、すなわち腐敗を防ぐために亜硫酸塩などが添加されています。
そして、亜硫酸塩は過剰に摂取すると肝臓機能などを低下させるという副作用もあります。

ワインの長期保存はコルクの発明と、亜硫酸塩の添加によって可能になったという歴史があります。
つまり、ワインにとって亜硫酸塩は必要な要素なのです。現時点では。

醸造家さんのなかにも葛藤があって「できることなら亜硫酸塩は使いたくない」と考えている方も少なくありません。
それでも使わないと、消費者の手元に届く前に酸っぱくなりすぎたり腐ったりしてしまうから、必要最低限を添加しているんだ、という醸造家さんがいます。

以前のワイン製造は、ほとんど民家に毛が生えたようなところで、
木樽や木桶などを使い回しておこなわれていました。
その分ワイン中に雑菌などが混じる確率も多かったでしょう。
だから食品添加物によって雑菌の繁殖を抑える必要もあったかと思います。

現在のワイナリーは衛生管理が行き届いているところが多く、
無菌状態のステンレス樽で発酵が行われるなど、雑菌混入の機会は格段に下がっています。
その分だけ食品添加物の添加量もどんどん少なくなっています。


ワインが悪酔いを誘発しやすいという原因はいくつか考えられますが、
料理との相性がよく多く飲みすぎやすいと言う点もあると思います。
酸味や渋みは口の中をさっぱりと感じさせる効果もあるので、
ついつい進んでしまいやすいのです。

また、ワインは他のお酒に比べて、ヒスタミン・フーゼル油・メチルアルコールの含有量が若干多いです。
体質によってこういった成分に過剰反応を起こすということもあるようです。
「ワインを飲むと少量でもすぐに具合が悪くなる」という方は、
ヒスタミン、フーゼル油、メチルアルコール等のアレルギー検査をしてみてもいいかもしれません。





最後に

ビールのウンチクを語る人って少ないのに、ワインのウンチクを語りたがる人って多いですよね。
なんででしょう、日本の一般市場への紹介のされ方の違いでしょうか。
あるいは、憧れの量の差なのかもしれません。
もちろん僕は、ビールのウンチクもワインのウンチクも大好きです。笑


ワインに興味あるけど、「知らなきゃ恥ずかしい」「渋いのが嫌」「悪酔いしちゃう」から敬遠してたという方がいらしたら、ぜひこんな情報を“さりげなく”教えてあげてくださいね。
それなら・・・、と試しに飲んでみようかなと思ってもらえたら嬉しいですよね!









☆出演情報

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Cloud of Arts 主催

廣橋英枝&山野靖博 デュオリサイタル




日時 2014年2月23日(日)   
   14:00開演 (13:30開場 15:50終演予定)

会場 山梨県立図書館2階 多目的ホール(全162席)
チケット 全席自由3000円
出演 廣橋英枝(ソプラノ)

   山野靖博(バス)

   林正浩(ピアノ)
お問い合わせ 08050946204(山野)

       y.unyou.y@gmail.com(山野)
チケットお取り扱い
     岡島友の会、山交友の会、内藤楽器丸の内店、コラニー文化ホール


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